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リースバックで老後も住み続ける?年金不足を補う仕組みを解説

リースバック

田中 智

筆者 田中 智

不動産キャリア16年

安心して任せられ、「お願いしてよかった」と感じていただける存在でありたい。そんな想いを大切に、日々誠実に向き合っています。伏見区出身。行政書士・FP・住宅ローンアドバイザーとして、不動産売却をトータルでサポート。売却は金額だけでなく、ご家族の想いや将来設計も重要です。一人ひとりのお話を丁寧に伺い、不安を整理しながら、納得できる形で進められるようお手伝いします。

退職後の暮らしを思い描いたとき、年金だけで本当に生活していけるのか。
そして、長年住み慣れた自宅にこの先も住み続けることができるのか。
そんな不安を抱えている方は少なくありません。
実際、多くの家庭で公的年金だけでは生活費が不足しがちで、医療費や介護費が重くのしかかるケースも見られます。
一方で、住まいという大きな資産があっても、日々の生活に使える現金は限られていることもあります。
そこで注目されているのが、自宅に住み続けながら資金を確保する方法のひとつであるリースバックです。
本記事では、老後の年金不足と住まいの現実を整理しつつ、老後も自宅に住み続けるための仕組みや、リースバックをどのように活用できるかを分かりやすく解説します。
自分らしい老後の暮らしを守るために、住まいとお金を一体で考えるきっかけにしてみてください。

年金だけでは不安?老後資金と住まいの現実

まず、公的年金の水準と老後の生活費の目安を整理してみます。
厚生年金の平均年金月額は全体でおおむね月額15万円前後となっており、これに加えて退職金や貯蓄を取り崩して暮らしている世帯が多い状況です。
一方で、総務省「家計調査」を基にした分析では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得は約22万円、消費支出は約26万円とされ、毎月の不足額はおおよそ3万円台となっています。
物価や光熱費の上昇も重なり、公的年金だけでは日々の生活費を十分にまかなうことが難しい「年金不足」の状態に陥りやすいことがうかがえます。

こうした中で、持ち家のあるシニアの方が抱えがちな悩みとして、「住まいはあるが手元の現金が少ない」という点がよく挙げられます。
住宅ローンの返済が終わっていても、固定資産税や火災保険料、共用部分の管理費など、住み続けるための固定費は毎年かかり続けます。
加えて、築年数の経過に伴う外壁や屋根、水回りなどの修繕費は数十万円から場合によっては100万円単位になることもあり、年金とわずかな貯蓄だけで賄おうとすると家計への負担が重くなりがちです。
このように、資産としての自宅はある一方で、日々の生活に使える現金が不足しやすいという老後特有の家計構造になりやすいのが現実です。

さらに、「長年暮らしてきた今の家にできるだけ住み続けたい」という希望と、「老後の生活資金を少しでも増やしたい」という思いは、同時にかなえにくい面があります。
自宅を売却すればまとまった資金は手に入りますが、そのままでは住み慣れた家を離れなければならず、住まいの安心感を手放すことにつながります。
一方で、自宅を残したまま生活費をすべて年金と貯蓄だけに頼ると、先ほどのように毎月の赤字が積み重なり、長生きするほど資金不足のリスクが高まります。
そのため、老後の暮らしでは「住まい」と「お金」を別々ではなく一体のものとして捉え、どのように組み合わせれば安心して生活を続けられるかを考えることが非常に重要になります。

項目 老後の現状 意識したいポイント
公的年金 月約15万円前後の水準 生活費全額を賄うには不足
生活費 夫婦世帯で毎月数万円の赤字 物価上昇も踏まえた試算
持ち家負担 税金や修繕費など継続的な支出 長期的な家計への影響把握
住み続けたい希望 今の家への愛着や安心感 資金確保との両立方法の検討

リースバックとは?老後も自宅に住み続ける仕組み

リースバックとは、自宅などの不動産を事業者などに売却し、売却代金を受け取ったあと、買主に家賃を支払うことで引き続き同じ住まいを利用する仕組みです。
国土交通省も、住宅のリースバックを「自宅を売却し、買主に対して家賃を支払うことで引き続きその不動産を利用する方法」と位置付けています。
持ち家を現金化しつつ住み慣れた場所に暮らし続けたい高齢者にとって、住まいと老後資金の両方を考える選択肢のひとつになり得ます。
ただし、契約内容や家賃の負担などをよく確認しないと、想定と異なる結果になるおそれがあるため、仕組みを正しく理解することが大切です。


リースバックで自宅に住み続ける場合、多くは「普通借家契約」か「定期借家契約」のどちらかで賃貸契約を結ぶことになります。
普通借家契約では、正当な理由がない限り貸主から一方的に更新を拒否することは難しく、契約更新を重ねながら長く住み続けやすい点が特徴です。
一方、定期借家契約は、あらかじめ決めた契約期間が満了すると原則として契約が終了し、更新がないことが基本となります。
国土交通省の資料でも、定期建物賃貸借は期間満了により契約が確定的に終了する仕組みであるとされており、老後の住まいの安定を考えるうえで、契約の種類と期間をよく確認することが重要です。

年金収入だけでは、医療費や介護費、物価上昇への備えまで十分にまかなえない場合もありますが、リースバックで得た資金は、その不足分を補う手段として活用できます。
たとえば、まとまった資金の一部を予備費として確保し、急な入院や治療に備えるほか、将来の介護サービス利用に向けた費用として計画的に取り分けておくことが考えられます。
また、毎月の生活費の不足分を一定期間補う形で取り崩すことで、年金収入に上乗せするような使い方も可能です。
ただし、家賃の支払いが長期にわたることを踏まえ、資金の使い道と使うペースを慎重に決めることが、老後の暮らしを安定させるうえで欠かせません。

項目 普通借家契約 定期借家契約
契約期間満了後 原則更新前提 原則契約終了
住み続けられる安定性 長期居住しやすい 期間終了時は要再検討
老後に見るべき点 更新条件と家賃水準 契約期間と再契約可否

年金不足に備えるためのリースバック活用術

まずは、老後の家計収支を大まかに把握しておくことが大切です。
金融庁の資料では、高齢夫婦無職世帯が公的年金を主な収入とした場合、毎月の赤字が数万円程度となり、長寿化により不足額の合計が数千万円規模に達する可能性があるとされています。
そのため、現在の年金収入、生活費、予備費などを整理し、何歳頃からどの程度不足しそうか、簡単な収支表を作って確認しておくことが、資産活用を検討する出発点になります。
こうした全体像が見えていると、リースバックで現金を確保する必要性や金額の目安も判断しやすくなります。

次に、リースバックを検討する際には、いくつかの条件を整理して比べることが重要です。
国土交通省のガイドブックや国民生活センターの資料では、自宅の売却価格、毎月の家賃、契約期間、更新や退去の条件、買い戻しの可否などを事前に十分確認するよう注意喚起されています。
特に、家賃の金額が年金収入と貯蓄で無理なく支払える水準かどうか、契約期間終了後の住まいをどうするかといった点は、老後の暮らしの安定に直結します。
これらの条件を一覧にまとめて検討することで、無理のない範囲での活用かどうかを冷静に判断しやすくなります。

さらに、年金不足に備える方法としては、リースバックだけでなく他の選択肢もあります。


国民生活センターは、住宅資産の活用方法として、リバースモーゲージや住み替え、公的な支援制度の利用など、複数の手段を挙げたうえで、それぞれの仕組みやリスクを理解して比較することの重要性を示しています。
例えば、自宅を担保に借入を行う方法は、一定の条件のもとで住み続けながら資金を得られる一方、金利や評価額の変動に注意が必要です。
このように、複数の方法の特徴を並べて検討し、自分の年金額、貯蓄額、希望する暮らし方に合った手段を選ぶことが大切です。

検討項目 リースバック 他の主な方法
資金確保の方法 自宅売却代金を受領 借入や住み替えによる資金化
住み続ける条件 賃貸借契約の期間と家賃 ローン条件や施設入居条件
老後家計への影響 家賃負担と年金収入のバランス 返済負担や家賃等との兼ね合い

老後にリースバックを選ぶ前に確認したい主な注意点

まず意識したいのは、「自宅を売却しても住み続けられる」という宣伝だけをうのみにしないことです。
国土交通省が公表した「住宅のリースバックに関するガイドブック」では、契約内容や将来の収支計画への理解が不十分なまま契約し、トラブルになる事例が指摘されています。
特に、売却価格が通常の売却より低くなる可能性や、家賃が年金収入に対して重くなる点、契約期間が満了した後に必ずしも住み続けられるわけではない点が重要です。
そのため、「いつまで・いくらで・どの条件なら住めるのか」を、契約前に書面で具体的に確認しておくことが欠かせません。

次に、国民生活センターなど公的機関が注意喚起している共通のポイントを押さえておくことが大切です。
国民生活センターは、リースバックの相談件数が増加しており、契約内容を十分に理解しないまま契約し、想定外の家賃負担や途中解約の条件で困る高齢者がいることを紹介しています。
また、将来の収入減少や介護状態の変化により、契約当初は支払えた家賃が支払えなくなるおそれも指摘されています。
こうした公的な情報を踏まえ、自分の健康状態や見込まれる医療・介護費も含めて、長期的な資金計画を立てておく必要があります。

さらに、老後にリースバックを検討する際は、一人で決めずに家族や専門家に相談する体制を整えることが重要です。
金融庁は、高齢社会における資産形成・管理の検討の中で、高齢期における資産の有効活用について、将来の生活設計を踏まえた慎重な判断や適切な助言の必要性を示しています。
相談の前には、年金の受給見込み額、預貯金や金融資産の残高、ローンの有無や残高、今後想定される医療・介護費、希望する暮らし方などを整理しておくと、具体的な助言を受けやすくなります。
そのうえで、自宅の活用方法としてリースバックが本当に自分に合うのか、他の選択肢も含めて比較しながら検討していくことが安心につながります。

確認項目 主な内容 見直しのポイント
契約条件の理解 売却価格や家賃、契約期間 書面で内容を再確認
将来の家計見通し 年金収入と医療介護費 長期の収支を試算
相談体制の準備 家族や専門家への相談 必要な資料の整理

まとめ

老後の年金不足や生活費への不安は、多くの方が抱える現実です。
その一方で「住み慣れた自宅にできるだけ長く住み続けたい」という思いも自然なことです。
リースバックは、自宅を売却して資金を得ながら賃貸として住み続ける方法で、老後の家計を支える選択肢の1つになり得ます。
ただし、家賃や契約期間などの条件を丁寧に確認し、年金や貯蓄とのバランスを冷静に検討することが大切です。
当社では、老後の暮らし方や資金計画も含めて、リースバックの向き不向きを一緒に整理いたします。
「自分のケースで本当に役立つのか知りたい」と感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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