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リースバックで住宅ローンが残っている場合は?自宅売却で資金を確保する手順を解説

田中 智

筆者 田中 智

不動産キャリア16年

安心して任せられ、「お願いしてよかった」と感じていただける存在でありたい。そんな想いを大切に、日々誠実に向き合っています。伏見区出身。行政書士・FP・住宅ローンアドバイザーとして、不動産売却をトータルでサポート。売却は金額だけでなく、ご家族の想いや将来設計も重要です。一人ひとりのお話を丁寧に伺い、不安を整理しながら、納得できる形で進められるようお手伝いします。

自宅を売却してまとまった資金を確保したいものの、住宅ローンがまだ残っているため迷っている方は少なくありません。
そこで注目されているのがリースバックという方法です。
一度自宅を売却して資金を受け取り、その後は賃貸として住み続ける仕組みのため、住み慣れた環境を変えずに資金ニーズに応えやすい点が特徴です。
しかし、住宅ローンが残っている場合は、残債と売却価格とのバランスや、契約条件の確認がとても重要になります。
この記事では、リースバックの基本や住宅ローンが残っている場合の注意点、具体的な流れまで分かりやすく解説し、自宅を売却して資金を確保したい方が検討しやすいように整理していきます。

住宅ローンが残っていてもリースバックは可能?

リースバックとは、自宅を一度売却して現金を受け取り、その後は買主と賃貸借契約を結んで家賃を支払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。
国土交通省のガイドブックでも、住宅を売却して資金を得つつ、売却後も引き続き居住できるサービスとして位置付けられています。
売却契約と賃貸借契約は法律上は別の契約ですが、同日に締結することで「売っても住み続けられる」形が実現します。
このように、自宅を手放さずに資金を確保したい方にとって、リースバックは有力な選択肢の一つになっています。

では、住宅ローンが残っている場合でもリースバックは利用できるのでしょうか。
一般に、リースバックを利用するためには、売却代金で住宅ローンの残債を完済できる、いわゆる「アンダーローン」の状態であることが重要とされています。
売却価格がローン残高を下回る「オーバーローン」の場合は、手元資金で差額を返済するか、金融機関と協議して任意売却など特別な手続を検討する必要が生じることがあります。
このような条件を踏まえたうえで、金融機関や関係者の同意が得られるかどうかが、リースバック利用の前提となります。

自宅を売却して資金を確保したいと考える方がリースバックを検討する場面は、多様なライフステージで見られます。
たとえば、老後の生活費や医療費に備えたい場合や、事業資金などまとまった一時金を確保したい場合に、自宅を現金化しつつ住み慣れた環境を維持したいというニーズがあります。
また、毎月の住宅ローン返済負担を軽くし、家計を立て直したいといった目的から、リースバックを選ぶ方もいます。
このように、生活の安定と資金需要の両立を図りたい方にとって、住宅ローンの残債状況を踏まえたリースバックの検討が重要になります。

項目 内容 確認の目的
リースバックの特徴 売却後も同じ家に居住 住み続けやすさの把握
住宅ローン残債 売却代金で完済可能か 利用可否の第一条件
資金確保の目的 生活費や事業資金など 制度適合性の検討

住宅ローンが残っている自宅を売却して資金を確保する流れ

まずは現在の住宅ローン残高を、金融機関から取り寄せた残高証明や返済予定表で正確に把握することが大切です。
次に、不動産会社による査定を受けて、おおよその売却可能額を確認し、仲介手数料や登記費用などの諸費用も見込んだ上で、売却代金で住宅ローンを完済できるかを試算します。
このとき、売却後にリースバックとして住み続けられるかどうか、家賃の想定額や契約条件も合わせて確認し、無理のない資金計画になっているかを検討します。


こうした一連の確認を経て、リースバックが現実的な選択肢かどうかを総合的に判断していきます。

売却を進めることが決まったら、まずは売買契約を締結し、決済日に買主から売却代金が支払われます。
その代金を用いて、金融機関に対して住宅ローン残高を一括返済し、同時に抵当権抹消登記の手続を司法書士などを通じて行う流れが一般的です。
抵当権が抹消されて初めて、買主へ所有権移転登記を行うことができるため、決済日当日は金融機関・司法書士・買主などが同席し、資金のやり取りと各種書類の確認を同日に完了させることが多いです。
こうして住宅ローンの完済と抵当権抹消が済むことで、売却代金のうち手元に残る資金額も確定します。

所有権が買主へ移った後は、売主は入居者としての立場に変わり、賃貸借契約を締結することになります。
賃貸借契約では、毎月の家賃額や支払方法、契約期間、更新の可否、原状回復の範囲などを事前に細かく取り決めておくことが重要です。
そのうえで、引き続き同じ自宅に住み続けながら、契約開始日以降に家賃の支払いを行い、万一の滞納が発生しないよう、生活費全体を見直した資金計画を立てておきます。
また、将来の買い戻しを想定する場合には、買い戻しの条件や時期についても契約書面で明確にしておくと安心です。

段階 主な確認事項 資金面のポイント
売却前の準備 ローン残高と査定額の把握 完済可能額と諸費用確認
決済・引渡し ローン完済と抵当権抹消 手元に残る資金の把握
賃貸契約後 家賃条件と契約期間 家賃負担を踏まえた家計管理

リースバック利用時の注意点と失敗しないためのチェック項目

リースバックを利用する際は、毎月の家賃負担が現在の住宅ローン返済額と比べて増えないかどうかを慎重に確認することが大切です。
あわせて、賃貸借契約の期間や再契約の可否、更新後の家賃水準など、長く住み続けたいほど細かな条件確認が必要になります。
さらに、買い戻し特約がある場合には、買い戻し可能な期限や金額の目安、費用負担の範囲などを事前に把握しておくことが重要です。
これらを整理しておくことで、将来の住まい方や資金計画を具体的に描きやすくなります。


一般に、リースバックでの買取価格は、通常の市場での売却価格より低くなる傾向があるとされています。
不動産事業者の解説では、市場価格のおおむね7割から8割程度にとどまる事例が多いとされており、その分だけ受け取れる資金が少なくなる可能性があります。
住宅ローン残高が売却価格を上回る、いわゆるオーバーローンの状態では、売却代金だけで完済できず、別途資金の持ち出しや金融機関との個別調整が必要になることもあります。
そのため、リースバックを検討する前に、最新のローン残高と査定価格の差額を具体的な金額で把握しておくことが欠かせません。

老後資金の確保や、日々の生活資金の補填を目的にリースバックを利用する場合には、短期的な資金繰りだけで判断しないことが重要です。
国民生活センターの資料でも、老後の住宅資産活用では、家賃などの固定費が長期にわたって家計を圧迫しないかを慎重に検討する必要性が指摘されています。
そこで、年金収入やその他の収入見込み、生活費や医療費の増加などを含め、少なくとも向こう10年から20年程度の家計収支を概算し、家賃負担を続けても無理がない水準かどうかを確認することが大切です。
必要に応じて、家計全体の見直しや将来の住み替え時期も含めて検討し、複数のシミュレーションを行うと、リースバックを選ぶべきかどうかを判断しやすくなります。

確認項目 主なチェック内容 見直しのポイント
家賃と契約条件 家賃水準と更新条件 収入減少時も支払可能か
売却価格と残債 査定価格とローン残高 完済可否と持ち出し額
老後資金計画 長期の家計収支 生活費と貯蓄の余力

リースバック以外に自宅を活用して資金を確保する主な選択肢

自宅を活用して資金を確保する方法としては、リースバック以外にもいくつか代表的な仕組みがあります。
その一つが、自宅を担保にして金融機関から資金を借りるリバースモーゲージで、高齢者を対象とした制度として各地の自治体や金融機関が取り扱っています。
また、年齢要件が比較的緩やかな不動産担保ローンも、まとまった資金を確保する手段として利用されています。
これらはいずれも自宅を手放さずに資金を得られる可能性がある一方で、利用条件やリスクの内容が大きく異なる点に注意が必要です。

リバースモーゲージは、主に高齢者が自宅を担保にして生活資金などを借り入れ、原則として死亡時や施設入所時に自宅の売却や相続人による一括返済で清算する仕組みです。
多くの制度で利用者の年齢要件や対象となる物件の所在地、戸建てか集合住宅かといった条件が定められており、自治体が関与する公的な制度と、金融機関が提供する民間の商品に分かれます。
一方、不動産担保ローンは年齢にかかわらず利用できる商品もあり、借入金は一括で受け取るケースが多く、返済は毎月の元利金返済が基本となります。
このように、自宅を担保とする制度であっても、資金の受け取り方や返済方法、契約期間などの仕組みは大きく異なります。

自宅の活用方法を比較する際には、リースバックとリバースモーゲージ、不動産担保ローンの違いを整理して考えることが大切です。
リースバックは売却代金を一度に受け取り、その後は賃料を支払いながら住み続ける形であり、所有権は手放す一方で毎月の家賃負担が発生します。
これに対し、リバースモーゲージは毎月あるいは一時金で借入を行い、原則として生存中は利息の支払い又は利息の元本組入れとし、最終的に自宅の売却などで一括清算する点が特徴です。
さらに、不動産担保ローンは通常のローンと同様に毎月の返済が必要であり、返済負担に耐えられる安定した収入があるかどうかが重要な判断材料になります。

方法 資金の受け取り方 住み続けやすさ
リースバック 売却代金一括受取 家賃支払いで居住
リバースモーゲージ 毎月又は一時金借入 契約条件内で居住
不動産担保ローン 一括借入が中心 返済継続で居住

自宅を売却して資金を確保したいと考えたとき、どの方法が適しているかは、年齢や収入、家族構成、今後の住まい方などによって大きく変わります。
まずは、自身のローン残高や将来の生活費の見通しを整理し、売却か担保設定かといった大きな方向性を検討することが重要です。
そのうえで、制度の仕組みやリスクを丁寧に比較し、自宅に住み続けたい期間や相続への影響も踏まえて総合的に判断することが望ましいです。
判断に迷う場合には、不動産の専門家や公的な相談窓口を活用しながら、無理のない資金計画と住まい方を一緒に検討していくことをおすすめします。

まとめ

リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を確保しつつ、そのまま住み続けられる選択肢です。
住宅ローンが残っている場合でも、売却代金で完済できることなど一定の条件を満たせば利用できる可能性があります。
ただし、家賃や契約期間、買い戻し条件、売却価格が低くなりやすい点など、慎重な確認が欠かせません。
リースバック以外にも複数の方法がありますが、状況により向き不向きは異なります。
自分に合う資金確保の方法を知りたい方は、ぜひ当社へご相談ください。

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